地域医療を支え地域活性化の核となる病院
計画地は和歌山県有田市、太刀魚やみかんの産地として有名な地で、海、川、山といった豊かな自然に囲まれる最高の療養環境にある。桜ケ丘病院は箕島地域において、理事長の「Face to Face. Heart to Heart」という精神のもと、75年以上地域に愛され、地域医療を支えてきた病院である。新病院の敷地はJR箕島駅前に位置し、北側の線路越しにみかん畑の山々、商店街に面する南側は有田川、西側は海を望むことができる。新病院は歴史ある病院を継承しながら、箕島駅前線路沿いに地域の顔(Face)をつくること、医療法人千徳会の新しい顔(Face)をつくること、そして患者の信頼感・安心感(Heart)をつくること、スタッフの方々の快適性・利便性(Heart)をつくることを目指した。大きな設計コンセプトは5つ、
① 箕島駅の顔となる施設
② 地域活性化の核となる施設
③ 永続的に地域に医療を提供し続ける施設
④ 周辺環境を活かした魅力的な施設
⑤ 歴史ある病院を継承する施設
北面は縦長窓を連続して配置し、リズミカルでシンボリックな外観とし、箕島駅の新しいランドマークとなることを目指した。縦長窓は病室からは山並みを切り取ったピクチャーウィンドウとなる。商店街に面する南側は建物をセットバックさせ、周辺への圧迫感を軽減し地域に開かれた形状とした。アプローチは吹抜のピロティからゆっくり建物に誘導する計画とし、エントランスホールは、自然光あふれる開放的な空間で、商店街に賑わいをもたらす計画とした。アプローチには病院名石碑、エントランスホールには陶板タイル壁画を旧病院から移設し、病院の歴史を継承する計画とした。内部は各所に木調のものを取り入れ、モダンでありながらもあたかかみを感じられるデザインとした。各階には青色=海・川、緑色=山並み、桜色=桜・梅、橙色=みかんをイメージとしたアクセントカラーを取り入れ、地域の方々にも親しみをもっていただけるインテリア計画とした。また、耐震性能の向上、浸水への配慮、オール電化の採用など、この箕島の地において、安全で安心な医療を地域の方々に永続的に提供できる病院を目指した。
所在地 | 和歌山県 |
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構造 | S造 |
階数 | 5/1 |
延床面積 | 5,671m² |
竣工年 | 2015年 |
備考 |