地域医療の一大拠点 医療街区型総合病院
■地域を支える病院
本計画は市民病院的役割を担う宇治徳洲会病院において、建物の老朽化・狭隘化を解消し、医療街区の形成、災害時の医療継続性の確保、救急医療の拡充を実現するために移転新築計画が進められた。そのため、計画街区には新病院の他に老健、特養(別敷地)、保育所を設置し、医療・介護・福祉が完結する計画となっている。また、建物は免震構造を採用し、複数のライフラインも確保することで24時間、365日機能し続ける災害に強い病院とした。さらに、救急センターを中心に手術・集中治療室・心臓センター・ヘリポートなどをバーチカルに直結させ、関連部門を近接配置することでより高機能な急性期運用が可能な建築計画とした。なお、敷地内には災害時に防災広場として利用できるフルフラット駐車場、雨水流出抑制ができる駐車場貯留施設を設置することで、地域に貢献する計画としている。
■わかりやすく使いやすい病院
外来には講演会など多目的な利用が可能な中央待合ホールを設置し、さらに動線の起点となるホスピタルストリートを主軸に診察諸室を配置する平面計画とすることで、地域に開かれた分かりやすい病院になるように配慮した。病棟は1フロア2看護単位で構成し、ステーションリンク(病棟階職員専用動線)によってスタッフ間のバックアップや連携を確保した計画としており、さらにスタッフステーションからY字に伸びる病棟廊下形状とすることで、病室の視認性・近接性を確保し作業動線の短縮化を図っている。
■地域に根差すデザイン
建物ボリュームはシンメトリーを基調に低層部を基壇型とすることで安定感のある計画とした。さらに、バルコニーと妻側をY字型に曲げた高層部は水平方向とともに奥行きを強調する効果が生まれ、来院者をどの方向からも受け入れる間口の広い構えとし、地域に根差す力強い宇治徳洲会病院の姿を表現した。
所在地 | 京都府 |
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構造 | RC造(免震構造) |
階数 | 10/2 |
延床面積 | 57,649m² |
竣工年 | 2015年 |
備考 | 病院473床、老健100床 |