作品紹介

リハビリテーション・急性期医療の充実、頼れるこころの病院

井之頭病院は、昭和2年開設の歴史ある精神科病院であり、病床数は659床、12病棟（開放1閉鎖11）で運営されている。また、診療科目は精神科・神経科・心療内科となっており、外来患者数は一日平均約330名となっている。
　今回の建替え計画は昨今の精神科医療に対する環境の変化から、今後の事業展開として急性期医療の充実、既存病棟の老朽化に伴う耐震性能強化という二点を大きな柱として行われた。そのため将来を見据えたマスターサイクルに基づいた整備計画により、計画的な増改築や設備の更新を図ることが必要になった。
　敷地南側を縦断する都市計画道路を除き、既存建物への影響が最小限となるような敷地的制約の中で、施主との綿密な協議を重ねた結果、コンパクトで効率のよい動線計画をもつ新棟の建替を仮設建築物なしで計画することができた。
　外観は庇、バルコニー等を強調したシンプルなデザインとし、外壁の汚れが最小限になるように機能性を兼ね備えたデザインとした。また、レンガ調のアクセントタイル部にサインを設置することで視認性を高め、全体の立体感・陰影を強調するように庇・バルコニーと外壁をモノトーンでまとめた。