建物にも個性を~でこぼこキューブ~
横浜医療福祉センター港南は、重症心身障害児者の入所部門(医療型障害児入所施設・療養介護)、外来診療部門、相談部門からなる児童福祉施設であり、医療を提供する病院である。学童期の入所者が通う特別支援学校分教室や地域の方々にもご利用いただく多目的ホールも設けている。
■でこぼこキューブ
新しい建物は、障害児者のニーズや価値観、個性などの個人差をでこぼこというキーワードに置き換え、分棟形式の建物(キューブ)や変化に富んだインテリアにより表現している。 「建物全体が街である」という考えに基づき、個性的な建物群を「街並み・とおり・広場」といった空間を介して配置している。普段、外出することが少ない入所者が、日常生活を楽しく、充実して過ごしていただくための、街づくりの工夫を随所にこらしている。
■放射状に諸室を配置 見守りの充実、賑わいの演出に効果的な建築計画
今回の建築計画で特徴的なのは、諸室へのアプローチを直線的な廊下で結びつけるのではなく360度放射状に配置することで、わかりやすい動線計画、見守りの充実、賑わいの演出といった効果をねらっていることである。
地域交流ラウンジを起点に総合受付、日中活動室、相談室、多目的ホール、外来、居住棟へとぐるっと見通すことができる「賑わいのエントランス廻り」、スタッフステーションから病室、観察室、共同生活室に視線が通る「見守り型のユニットケア」、そして、待合プレイコーナーから放射状に諸室を配置した医療棟3階の「明るいリハビリフロア」、いずれも、動線や視線が放射状に通ることで、インフォメーション能力の高い空間として仕上がった。
所在地 | 神奈川県 |
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構造 | S/RC造 |
階数 | 3/0 |
延床面積 | 13,387m² |
竣工年 | 2016年 |
備考 | 第60回神奈川建築コンクール優秀賞 |