地域住民に安全・安心で良質な医療を提供し、スタッフがはたらきやすい病院をめざす
北上済生会病院は、社会福祉法人恩賜財団済生会の一員として「施薬救療」の創立の精神のもと無料定額診療事業を行うと共に、北上地域の中核病院として役割を担っている。新病院建設においては、地域の医療・福祉関係機関等と連携しながら、将来にわたり地域住民に安全・安心で良質な医療の提供を目指すと掲げられた基本方針を受け、患者・職員を含む、全ての利用者にとって長期的な快適な環境の提供をコンセプトに設計を行った。
冬期の厳しい季節風の影響を考慮した各出入口計画や、現病院での慢性的な駐車場不足の解消と将来建替計画も見込んだ配置計画を行った。内部計画では、セキュリティ強化を図り患者と職員の動線分離を明確にし、病棟では2看護をスタッフ動線でリンクさせ、少人数での看護体制でも相互協力が可能としている。動線短縮を図ったキの字型の病棟は、中央のスタッフステーションから3方向に延びる病室へ緊急時にも素早く駆け付けることが可能である。各病棟ウィング先端部にはゆとりのあるデイコーナーを設け、四季の移ろいを感じられる環境整備を行った。昨今の感染症への対策としては、専用の出入口、診察室、二類感染症患者受け入れ病室を整備し、完全に隔離した動線での搬送も可能とした。スタッフの職場環境改善・離職防止にも配慮し、リフレッシュ空間であるラウンジ、院内保育所の設置もあわせて行っている。
全体形状がウィングを設けた特徴的なデザインであることから、なるべくシンプルな外壁納まりを検討し、氷柱防止などに配慮をしている。
所在地 | 岩手県 |
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構造 | S造 |
階数 | 5/0 |
延床面積 | 16,629m² |
竣工年 | 2020年 |
備考 | 第8回北上市景観賞 |