作品紹介

「立飛の空」×「新たな命の生まれる場所」

　東京都立川市・立飛に建つ小児科併設の産婦人科クリニックである。「新たな命の生まれる場所」と飛行場の歴史を持つこの地の「空」のイメージを掛け合わせ、鳥が羽休めする木々のように、産前産後を安心して過ごせるクリニックを目指した。
　クリニック名の「ロビン」はヨーロッパコマドリという鳥で、建物はロビンのさえずりが聞こえてくるような「イギリス湖水地方の邸宅」をイメージし、内外共にナチュラルで落ち着いた雰囲気を作っている。
　産婦人科の1階待合ホールは2層吹抜けとし、大きな窓から外部ガーデンの木々の景色を室内に取り入れられる開放的な空間とした。待合ホールの吹き抜けに面し２階にデイルームを設けることで、入院中の産婦や家族も吹抜けを介して空とガーデンの開放感に包まれる。
　家族も宿泊できる個室は、家族ごとに異なる「家」の形を外観モチーフとし、個室によって屋根の形状や高さを変え、色と質感の異なるタイルや左官仕上を組み合わせた。個室前のベランダには季節ごとに色づく変化のある木々を選定し、外観は木々の中の鳥小屋のようなイメージも持つ。
　建物全体を通して、産前産後のあらゆるシーンを見守り、新たな家族の出発を後押しする建築空間を提供している。