都市型精神科病院
日明病院は、1930 年に旧小倉市郊外日明の丘に小倉脳病院として設立され、約90 年間に渡り精神科病院として地域に根ざしてきた歴史ある病院である。設立当初は、周囲は原野で、海岸線は真下であり、現在では考えられない様な風景であったという。今では夜遅くまで人の気が絶えず、日中は繁華街と見間違えるような雰囲気である。新病院では、この街なかの都市的環境を最大限に活かし、社会復帰活動を充実させた都市型の精神医療に取り組み、「生き方の練習」を地域の人々と協力しながら育んでいくことを目指している。本計画では建物だけでなく、これら擁壁も新設、改修する必要があり、病院運営を継続させながらの、安全かつ効率的な建替が求められた。
既存病院は地域から閉ざされるよう中庭側に建物が向いていたが、新病院では地域に開かれた病院をつくりだすため、芝生広場を街に向けた前面に配置し、内部空間とともに様々な地域の行事などに対応する計画とした。地域との接点を大切にしながら、患者の心理状態やプライバシーにも配慮した計画とし、都市型精神科病院の新たなあり方を目指している。新病院は建替ステップによりⅠ期棟、Ⅱ期棟に分けて建設。道路からのアプローチのアイストップを兼ねたⅡ期棟には、病棟階に食堂・作業療法室、1 階にはイベントスペースと会議室を配置した。夜にはⅡ期棟の外壁を優しくライトアップし、地域に開かれた病院のシンボルとして、街に潤いをもたらしている。
| 所在地 |
福岡県 |
| 構造 |
RC一部S |
| 階数 |
地上4階 地下1階 塔屋1階 |
| 延床面積 |
7,252m² |
| 竣工年 |
2025年 |
| 備考 |
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