可変性のある“PARK”を持つ全個室病棟
北九州市における医療法人しょうわ会の2病院統合移転計画である。本計画はJR駅前の市有地開発公募で選定された事業で、病院+立体駐車場・テナント棟・薬局に加え、隣接する商業施設や共同住宅を一体的に整備した。
車社会である地域性を踏まえ、病院と商業施設を隣接させ、幹線道路沿いにまとまった平面駐車場やドライブスルー薬局を計画。これにより、地域の利便性向上と賑わい、安心を生み出す「駅前《医・商・住》複合施設」の実現を目指した。
計画では、駅前に病院とテナント棟、その先に商業施設を配置し、駅から人の流れを呼び込む「にぎわいの軸」を設定した。病院敷地内は自由な通り抜けを想定し、この軸に沿ってコンクリート打放し仕上げの列柱空間を設けている。この列柱空間により、雨天時でも駅から病院玄関まで移動しやすく、夜間は適切な照明配置で安全性が保たれている。また、街と病院の緩衝帯としても機能し、駅前や「にぎわいの軸」から程よい距離を保てる空間とすることで、患者心理に配慮した。
設計当時はCOVID-19の影響下にあり、全個室とする方針を採用する一方で、患者が病室にひとりで籠ったり寝たきりにならない環境づくりを心掛けた。病室は主に就寝を目的とした最小限の「休憩所」とし、その代わりに病棟中央へ“PARK”と名付けた多機能空間を設け、日中の快適な「居場所」とした。患者がふらっと公園へ出かけるような感覚で自由な憩い方ができる場とし、快適性と柔軟性に配慮したサーカディアン照明を導入している。
“PARK”は、自由な通り抜けや将来変更に対応した可変性のある大空間で、光庭や吹抜け周囲にリハビリ、食堂、談話、スタッフステーションなどを、境界を設けずに配置した。
また、メゾネット型「OPEN OFFICE」を設置し、職員のさらなる連携強化を図った。
| 所在地 | 福岡県 |
|---|---|
| 構造 | RC一部S |
| 階数 | 地上5階 |
| 延床面積 | 17,354m² |
| 竣工年 | 2025年 |
| 備考 | 新建築2025年10月号掲載 近代建築2025年11月号掲載 |